日本文化の主流と傍流
- 2019.10.11 Friday
- 02:51
寮から学校まで、歩いて20分ほどかかる。しかし景色が面白いので全く苦痛ではない。帰りはいつも、寄り道しながら遠回りして30〜40分もかけるけれど、それもまたいろいろ発見があって面白い。
しかし朝とおる道はあまり眺めているゆとりがない。それで見落としていたのがこれだ。
大きな映画館の壁にこんな窓が3枚あって、そのうちの一枚。他の二枚もこれと同じことになっている。
「スコットランドはアニメ大好き」
言いたいことはわかるのだが、これを日本語でアピールする意味がわからない。いったい誰に読ませようというのだろう。
それはともかく。
立派な本屋へ行って、土地のガイドブックを買おうと思った。ついでに小説の棚を見ていたら、カズオ・イシグロがたくさんあった。英国のノーベル賞作家だから当然か。そしてそのそばに大きな島があって、日本漫画の英語訳が大量に並んでいる。
日本の漫画、アニメが海外でも売れているという話はよく聞くが、日本では誇張されているのだろうと思っていた。ところが実際にそうらしい。各国の学友達もこちらが日本人だとわかると、「ハヤオ・ミヤザキ」、「ナルト」、「ゴクウ」と、知っている関連用語を並べて聞かせてくれる。昔だったらこれは、「クロサワ」、「オズ」とかで、それもちょっとしたインテリの嗜好品だったのだ。
日本食と並んでこういった文化が伝播されるのは意味のないことではないだろうが、あくまでもサブカルチャーでしかないと思っていた私は、どうやら不明を恥じなくてはいけないらしい。最近はこういう「本流」「サブ」の区分けにたいした意味はないと思うようになった。
かつて川端康成がノーベル賞をとったときに、三島の方が海外では有名ではないかとの異論もあったそうだが、当時は川端=日本の伝統文化、三島=サブカルチャーということで、評論家達は納得したらしい。しかし今時三島をサブ扱いする人がいるだろうか。この手のレッテルは限りなく相対的で、時代とともにどうにでも変わるのだ。私もそろそろ考えを改めるべき時なのかも知れない。